老舗の京料理の事例が場のブランディング成功例と言えるのであれば、その相対的な位置づけにあるのが六本木ヒルズです。
Moneyzine『リーマン倒産で、六本木ヒルズのブランド失墜「ヒルズの呪い」などと揶揄も』の報道によれば、リーマンブラザーズ倒産が、ヒルズブランドに更なるマイナスの影響をあたえているとのことです。現在Livedoorリスログにて、「六本木ヒルズのイメージ」に関するアンケート調査をおこなっていますが、回答者532人のうち(9月25日10時50分現在)、71.1%が悪いと回答しています。
具体的に何が悪いか?どのようなイメージが「悪い印象」となっているか、までは調査の範囲外ですので、これ以上の解釈は困難なのですが、「六本木ヒルズ」に対して一般の人々が持つイメージの変遷におけるターニングポイントは東京地検のライブドア家宅捜査でしょう。これは前述の報道でも言及されていました。
堀江氏がライブドアのCEO時代だった際にインターンとして鞄持ちを経験し、その後、自らも起業したという当時東大生だった保手澤彰人氏のブログがその頃の大学生たちの気持ちをある程度代弁しているように思えます。
特に、前述のリンク先の2005年12月のブログで言及している「世界一」は、一連の事件が発覚した後で実施された下村健一氏とのインタビュー時に言及した「世界一」の意味と比較し、随分変化が生じているように見受けられます。
「世界一」になりたいという目標を持つか否かに関わらず、多くの若者にとって、ライブドア事件前の六本木ヒルズは「ジャパニーズドリームの象徴」であり、「勝者の象徴」であった事は確かでしょう。それが不正が明らかにされるにつれ、もともと拝金主義的だった、堀江氏の言動(あくまでもメディアが断片的にとらえた同氏の姿でもありますが)などと重なり「虚栄」、「繁栄から崩壊への道を転がり落ちる金というものの儚さ」、「権力闘争の虚しさ」というイメージが増幅され、前述のアンケート結果のようになっているのだと思えます。
更に重要なのは、このイメージが堀江氏個人ではなく、ヒルズという働く「場」のイメージそのものに反映されたという点です。これは、前述のインタビューにおいて、保手澤氏が「ヒルズ族はダサい」と言っている点とも合致します。この言葉は堀江氏個人ではなく、ヒルズ族のビジネススタイル全体に感じられるイメージを語っているのだと解釈出来るからです。
当然のことながら、六本木ヒルズで働いている方のほとんどは、誠実且つ勤勉に働いている事でしょう。また、拝金主義と見られた傾向などもおそらく実像とはかけ離れているはずです。ですが、そのようなイメージを一般の人たちがヒルズ全体に感じてしまった事は否めない事実でもあるのです。つまり、一連の事件やその前後のある意味過剰に報道されたヒルズ族のライフスタイル、そしてその場を中心にうごめく価値観的なものが、場のブランドを無意識のうちに作り上げてしまったということになります。そして、いったんつくりあげられてしまった「場」のブランドを覆すのは容易ではありません。そこに冒頭で引用したような、リーマンの破たんが重なりあい、「ブランド失墜」と表現される結果となっているのです。
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